2025年夏、日本初公演となったミュージカル『コレット』。
しかも日本発ミュージカルとなれば、観に行かずにはいられないかてこさん。

フランス文学界で最も高名な女性作家のひとり、シドニー=ガブリエル・コレットの半生を、
G2によるオリジナル脚本・作詞・演出と、荻野清子の音楽で舞台化した作品です。

コレットといえば、自著『ジジ』の舞台化の際、まだ無名だったオードリー・ヘプバーンを主役に抜擢した逸話が有名のようですが、2018年公開されたキーラ・ナイトレイ主演映画「コレット」のほうが聞き馴染みがあるかもしれません。

奔放に生き抜いた“コレット”という女性

男性優位であった19~20世紀のフランスにおいて、彼女は文学のみならず、女性の生き方や恋愛観でも常識や慣習にとらわれず、自らの道を切り開き、生き抜いた人。

生涯で約50作を著し、1920年の『シェリ』で評価を確立。
1945年にはアカデミー・ゴンクール総裁(初の女性総裁)に就任、
1953年にはレジオンドヌール勲章グラントフィシエ(女性として初)を受章。
1954年には国葬で見送られました。

文化や慣習の違いはあれど、当時のフランスにおいても国葬で称えられたのは、
きわめて稀有なことと言えるでしょう。

そんな人物の半生が、舞台の中でどんな“女性”として描かれたのでしょうか。

「女性の自立」以上に際立つ奔放さ

「思った以上に全員が奔放でびっくり!」
――前情報なく観劇したかてこさんの第一印象はこれ。

まじめに「女性の自立」を描いた舞台だと思っていたかてこさんでしたが、
舞台『コレット』に登場する人物は全員とにかく「奔放」。
夫婦関係や恋愛関係が複雑に絡み合い、不倫や浮気といった言葉で片づけてしまうにはもったいないほど、
自由で揺れ動く人間模様が描かれています。

「今の時代なら倫理的にアウト」と思う展開も、作品世界では“悪いこと”というより、
むしろ“普通”の概念として描かれ、逆に舞台だからこその面白さとして浮き上がってくる。
功績を夫に搾取され続けていたというシリアスなストーリーとともに、
コミカルな展開や歌が散りばめられているのも魅力。
重さ一辺倒ではなく、軽妙さが随所に効いていました。

そして、日常の刺激や自由奔放な恋愛遍歴から小説が生まれていくこと
――「自立した女性像」は結果として後からついてきたもの――
という視点に新しい発見があったとか。

(2025年かてこさん撮影)

観劇ド素人視点

「従順な妻」を捨て、「国民的大作家」へと歩み出す起点が“離婚”という決断。
見くびられようとも、虐げられようとも、世間から非難されようとも、
男性優位の時代において搾取され続けることに屈しない意志と、
自分の才能を社会に認識させるまで諦めない強さに敬意を。

自由を得るための仲間作りの延長として「自由な恋愛」があったのだとしても、
自分を支え、視野を広げる一助となった交友関係がそこには確かにあり、
「自由奔放な恋愛」はともかく、自立していくために必要な要素として得られるものはあるのではないだろうか。

そんな「女性の自立」をコミカルさをエッセンスに舞台ならではの面白さになっているのなら…
映画『コレット』を観ていたこともあり、舞台の中で表現される“コレット”にも興味はあり――
「観に行けばよかったかな」と今さら思う、観劇ド素人なわたしなのでした。

ステージに立つ人、その世界を創り上げるすべての人に、心から拍手を。

関連作品

映画『 コレット
出演:キーラ・ナイトレイ, ドミニク・ウェスト 他
監督:ウォッシュ・ウェストモアランド
形式:DVD

舞台ファイル:ミュージカル『コレット』

かてこさんが赴いた舞台日程は以下の通り。

【公演期間】2025年 8月 6日 〜 2025年8月27日
【会場】日本青年館ホール
【脚本・作詞・演出】G2
【音楽】荻野清子
【キャスト】
シドニー=ガブリエル・コレット 役:明日海りお
ウィリー 役:今井朋彦
ベルトラン 役:大東立樹(CLASS SEVEN)
ミッシー 役:七海ひろき
アンリ・ド・ジュブネル 役:吉野圭吾
メグ・ヴィラール 役:花乃まりあ
シド 役:前田美波里