「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」
クッション言葉+丁寧語なのに、どこか爽快感のある辛口の決め台詞。
『謎解きはディナーのあとで』で毎話飛び出す謎解きのトリガーとも言える一言として、
記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

原作は、シリーズ累計約500万部に迫る東川篤哉氏による日本の推理小説。
2011年の本屋大賞を受賞し、その授賞式で特別映像が放映。
YouTubeで朗読版が公開されたのを皮切りに、漫画化・ドラマ化・舞台化・映画化・朗読劇化と多メディア展開が続き、2024年にはテレビアニメ化が発表、2025年春期に放映され、
まさに時代を超えて愛される「国民的名探偵シリーズ」と言えるでしょう。

かてこさんは、2013年のテレビドラマ以来、12年ぶりにこの“謎解き”の世界へ。
今回は音楽劇として再構成された『謎解きはディナーのあとで』を観劇しました。
どんな謎解きの世界が広がっていたのでしょうか。

(2025年かてこさん撮影:日本青年館ホール前にて)

音楽劇=ミュージカルではない

“あの”毒舌執事とお嬢様刑事コンビが舞台で帰ってきたとあって、
かてこさんの期待値は相当高め。
しかし観劇後のひとことは――

「うーん、ちょっと惜しい。」

謎解き展開を知っているからこそ、舞台ならではの新しさを期待していたかてこさん。
その分、満足度はやや低めに感じたようです。

配役はぴったり、でも物語に伸びしろあり?

毒舌執事、そしてお笑い担当の風祭警部をはじめ、
キャスト陣はそれぞれの役にしっかりはまっていました。
一方で、物語のテンポや展開には物足りなさが残ったようです。

舞台オリジナル設定では、
お嬢様刑事・麗子に“親同士が勝手に決めた婚約者”が登場。
ヨーロッパの小国・シュヴァルツクスト公国を舞台に、
王位継承争いに巻き込まれていくという筋書き。
そこに20年前の母親の死の真相、そして「魔獣」の登場が加わります。
しかし全体的には“ドタバタコメディ”寄りで、
肝心の推理要素がやや薄味に感じられたとのこと。

(2025年かてこさん撮影:日本青年館ホール前にて)

“謎解き×音楽劇”のさらなる進化に期待

20年ぶりに登場した魔獣が着ぐるみ姿だったりと、演出はどこかコミカル。
物語全体のテンポがやや緩やかで、ところどころ眠気を誘う場面も。
笑いどころはあるものの、緩急のバランスがやや弱かった印象です。

かてこさん

舞台でしかできない“謎解き”の魅せ方が、もう少し欲しかったです。

期待が高かった分、評価は少し辛め。
ただし、キャストの演技力や世界観の作り込みは素晴らしく、
“謎解き×音楽劇”という挑戦そのものには、拍手を送りたい一夜となりました。

お口直しは、原作小説で!

原作あってのドラマがあり、アニメがあり、舞台がある。
今回の舞台は、原作の持つ知的で上品なトーンよりも、
どちらかというとコメディ色が強めだったようです。

舞台という限られた時間の中で、
コミカルさと知的な謎解き展開のバランスを取るのは、
ほんのひとつまみの匙加減。
“謎解き×舞台”のこれからの進化に期待しつつ、
原作を読み返してみようと思う観劇ド素人なわたしでした。

ステージに立つ人、その世界を創り上げるすべての人に、心から拍手を。

関連作品

小説:謎解きはディナーのあとで (小学館文庫 2012年)
小説:謎解きはディナーのあとで (2) (小学館文庫 2013年)
小説:謎解きはディナーのあとで 3 (小学館文庫 2015年)
小説:謎解きはディナーのあとで ベスト版 (小学館文庫 2019年)
小説:新 謎解きはディナーのあとで (小学館文庫 2024年)
小説:新 謎解きはディナーのあとで2 (小学館文庫 2024年)
FODチャンネル for Prime Video :謎解きはディナーのあとで (フジテレビ 2011年 全10話)
・出演俳優:櫻井翔, 北川景子, 野間口徹, 中村靖日, 岡本杏理, 田中こなつ, 椎名桔平
Amazon Prime Video:映画 謎解きはディナーのあとで (2013年 2時間)
Amazon Prime Video:謎解きはディナーのあとで (2025年 全12話)
・出演声優:花澤香菜, 梶裕貴, 宮野真守

舞台ファイル:音楽劇『謎解きはディナーのあとで』

かてこさんが赴いた舞台日程は以下の通り。

【公演名】音楽劇『謎解きはディナーのあとで』
【公演期間】2025年 09月 09日 〜 2025年09月23日
【会場】日本青年館ホール
【原作】東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』(小学館)
【脚本】須貝英
【演出】河原雅彦
【音楽】三國茉莉
【キャスト】
影山 : 上田竜也
宝生麗子 : 玉井詩織
風祭京一郎 : 橋本良亮
ファビアン・ラインフェルト : 植原卓也
マリアンヌ・フォン・シュヴァルツクスト : 凪七瑠海
クラウス・フォン・シュヴァルツクスト : 川久保拓司
アルベルト・シュナイダー : シューレスジョー
ゲルタ・ゲーゲンバウアー : 野口かおる
ヘルマン執事 : 大澄賢也