“たまたま”観た舞台『トゥーランドット』

「たまたま観に行った舞台が、その後の人生を変えた」
そんな言葉がまさに当てはまる1本──
それが、2008年春に観た祝祭音楽劇『トゥーランドット』でした。

2008年から月1ペースで“舞台”に通い始めたかてこさん。
その“向き合い方”がガラリと変わるきっかけとなった、印象的な舞台があるといいます。

2008年3月27日(木)〜4月27日(日)、
赤坂ACTシアターこけら落とし*公演として上演された、祝祭音楽劇『トゥーランドット』。

*こけら落とし:新たに建てられた劇場や、改装された劇場で行う最初の公演のこと 

その日も、オフィスでいつも通りの業務をこなしていたかてこさん。
友人とのたわいない会話の中で、
「今日の夜、舞台でも観に行こうか」
──そんな軽いノリで、チケットを検索したのだとか。

「新しくオープンした劇場」
「その日観られる公演」
この2つの条件がぴったり重なり、
当日券を即買い、『トゥーランドット』を観に行くことになりました。

後ろの席から感じた、息を呑む2時間半

事前情報ゼロ。下調べもなし。
ビジネスでいえば、まるで“飛び込み営業”のような状況。

けれど、飛び込んだ先が“劇場”であれば、
臆するよりも、ワクワクが勝る──
そんな心地よさを感じながら向かったのでした。

会社の友人とふたりで足を運んだその日、
決していい席とは言えない2階席のかなり後ろのほう。
当日券だし、いい席じゃないのは覚悟の上。

オペラグラスというアイテムすら知らず、
裸眼では「人が動いている」ことしか分からない距離感。
歌唱パートの声は聞こえるけれど、演者の顔ははっきり見えない。

「まぁこんなもんかな」
──そう思っていたのも束の間。

気づけばストーリーにグッと引き込まれ、
目の前に原色の衣装が鮮やかに飛び込んでくる。

息を呑んで、ただただ舞台を見つめる2時間半。
まばたきすら惜しい。
目を凝らすたびに、新しい感激がある。
そんな時間でした。

「Be curious」の火が灯った瞬間

「こんな世界があるんだ──」
「2階席の後ろからでもこれだけ感動するなら、前の方で観たらどうなるんだろう?」
かてこさんのなかで、
“舞台”への好奇心──「Be curious」の火が、確かに灯った瞬間でした。

興味や関心が方向性が決まると、
次は“行動”に現れるもの。

「舞台って、他にもたくさんあるよね?」
「自分でチケット取ったら、もっといい席で観られるのかな?」
「チケットってどうやって買うんだろう?」

次から次へと湧き上がる探究心。
「知りたい」「観てみたい」「近づきたい」
そんな好奇心が、人を行動へと突き動かしていきます。

その方向性は人それぞれ。
だからこそ、おもしろい。

かてこさんがいかにして
「年間100公演赴くかてこさん」になっていったのか──
観劇ド素人のわたしの「Be curious」は、今まさにその軌跡を追いかけています。

その一歩が、人生を変えるかもしれない

あの日、2階席の後ろから観た『トゥーランドット』が、
かてこさんの“舞台との向き合い方”を変えました。

「演者が変わっても、再演するなら今度は前列で──」
そう語るかてこさんの笑顔には、
あの日の感動が、今もなお宿っているようでした。

みなさんの「Be curious」は、どこへ向かっていますか?

まだ観ぬ“舞台”かもしれないし、
まったく違う世界かもしれない。

でも、
その何気ない一歩の先に──
人生の糧になるような出会いが、待っているのではないでしょうか。

舞台ファイル:【トゥーランドット】

かてこさんが赴いた時期やキャストは以下の通りです。
公演スケジュール:
【公演期間】2008年 3月 27日(金)〜4月27日(日)
【会場】赤坂ACTシアター

【原案】ジャコモ・プッチーニ
【演出】宮本亜門
【作曲・音楽監督】久石譲 
【キャスト】アーメイ、岸谷五朗、中村獅童、早乙女太一、安倍なつみ、北村有起哉、小林勝也 他