劇団朱雀舞台『OMIAKASHI』~3年ぶり本公演、芝居×舞踊×殺陣、“スーパーメガ盛り”の大衆演劇~

劇団朱雀OMIAKASHI用アイキャッチ画像

4月某日。
劇団朱雀の3年ぶりとなる本公演『OMIAKASHI』を観劇してきたかてこさん。

芝居と舞踊、そして殺陣。
あらゆるエンタメ要素が詰め込まれた、“スーパーメガ盛り”の劇団朱雀の大衆演劇。

大衆演劇を観続けてきたかてこさんにとって、
今回の舞台はどのような体験となったのでしょうか。

(2026年かてこさん撮影:サンシャイン劇場にて)

笑いと人情が交差する第一部『大江戸早業稼業』

第一部はお芝居『大江戸早業稼業』。

早乙女太一さん演じる早業一刀率いる江戸で人気の軽業*一座。

表向きは一座として活動しながら、
裏では悪人から金を奪う“世直し稼業”をしている一団という設定。

座員である須賀健太さん演じる六助が、
実は大名の隠し子であると知らされるところから物語が動き出します。

六助の親友が富岡晃一郎さんが演じるねずみのチュー太で、
チュー太のねずみ言葉は六助にしかわからない。

種を超えた二人のやり取りが温かく、お互いを想っての行動が、
物語を動かしていきます。

只者ではない感たっぷりの早乙女友貴さん演じる座員のさぶの
行動も見逃せません。

*軽業: 江戸時代の庶民の娯楽のひとつで、綱渡りや竿のぼり、籠抜け、空中ブランコなど、
鍛錬した身体を使って行う興行で、今のサーカスのようなもの。

(2026年かこてさん撮影:劇団朱雀ののぼり旗がお出迎え、和物がかっこいい!)

完全懲悪とわかっていてもどっぷり浸ってしまう世界観

脚本は、劇団☆新感線でおなじみの中島かずきさん。
物語のテンポの良さとそれぞれの役に見せ場がありつつ、
大衆演劇ならではの笑いに、華やかさが加わったように感じた舞台でした。

喜矢武豊さん演じる伊賀栗山之亮は、ボスの言動に右往左往と
振り回される部下の様を、軽快にコミカルに演じていて、
親近感をもちつつも、楽しく観入ってしまうほど。

浜中文一さん演じる宇治川主膳がラスボスとして登場し、
思いっきり振り切った芝居は逆に面白く、
そしてしっかり成敗されて、気持ちよく終わるハッピーエンド。

わかっていても、見事に舞台の世界に浸りきってしまった第一部。

いわゆる水戸黄門効果と同じく心理的な安心感をもって観てしまう側面に、
大衆演劇ならではの喜劇的な笑いに、洗練されたアクション要素が加わり、

さらに、客席通路も使った演出に会場全体が「世界」に入り込む仕掛け。

これだけでもお腹いっぱいの第一部となりました。

芝居だけじゃない。“魅せる力”が詰まった第二部

一方で、第二部は一転して、踊り中心のステージ。

そして、これがとにかく圧巻。

早乙女友貴さんの男気溢れる踊り、
妖艶な所作で魅了する女形の早乙女太一さんの日舞、
思わず息をのむほど美しい。

そして劇団朱雀両翼二人の殺陣。
阿吽の呼吸というか別次元のキレのある動きは鳥肌ものです。

中国拳法っぽい動きを取り入れたり、旗を使ったりと
いろんな要素が盛り込まれた踊りもあり。

すべてが詰め込まれた、まさに“スーパーメガ盛り”構成。

振付には、ダンスグループ s**t kingz のNOPPOさんも参加。
現代的なダンスと伝統表現が融合した舞台は、まさに唯一無二でした。

そして、今回の舞台で一番輝いてみえた方、
第一部でのラスボス感とは一転、ガラッと雰囲気変えてきた
浜中文一さんの歌と踊りも見どころのひとつ。
アイドルっぽい愛嬌で第一部との落差にギャップ萌えします。

舞台全体を通して、
“観るものすべてを楽しませる”という想いが伝わってくるステージでした。

観客との距離の近さも、大衆演劇の魅力

カーテンコールでは、
客席へ向けてティッシュが投げられ、かてこさんもしっかりゲット!
1階席では、役者さんが通路に降りてきて手渡しに近い形で配る場面も。
そして、2階席にもしっかり配りにいく演出です。

“舞台と客席が一体になる感覚”は、大衆演劇ならではの醍醐味ですね。

第一部と第二部の間の休憩時間には、
初代座長の葵陽之介さんが口上挨拶をした後グッズ販売が始まり、

ある日の公演では、須賀健太さん自らがグッズ販売をしていて、
客席通路に長蛇の列ができていたり、

舞台の合間時間も“劇団朱雀の世界”が続いている、
休憩時間すらもファンにとっては尊い、美味しい体験ができるのも印象的でした。

(2026年かてこさん撮影:客席に投げられたポケットテッシュ)

芸に携わる人ほど観てほしい舞台

歌、踊り、芝居、殺陣。
どれか一つではなく、すべてを高いレベルで成立させているこの舞台。

だからこそ感じたのは、

芸をしている人にこそ観てほしい

ということ。

一つひとつの表現の積み重ねと、観客を楽しませるための工夫。
そのすべてが、舞台上で形になって劇団朱雀の「世界」が出来上がっていました。

芝居で笑い、
踊りで魅せられ、
殺陣で熱くなる。

そのすべてが詰まった、まさに“大衆演劇の魅力フルコース”。
気軽に楽しめるのに、しっかりと心に刻まれる――
そんな舞台を体感してみてはいかがでしょうか。

ステージに立つ人、その世界を創り上げるすべての人に、心から拍手を。

(Coffee break…)
次のページをめくる前に、温かい一杯を。

ブルーボトルコーヒー

舞台ファイル:劇団朱雀舞台『OMIAKASHI』

今回、かてこさんが赴いた日程は以下の通りです。この後、大阪→福岡と巡る“スーパーメガ盛り”の大衆演劇は、5月17日まで続きます。

【公演名】劇団朱雀舞台『OMIAKASHI』
【公演期間】2026年4月10日~ 4月26日
【会場】サンシャイン劇場
【総合演出】早乙女太一
【脚本・作詞】第一部:中島かずき(劇団☆新感線)
【ステージング・振付】第一部&第二部:Kurumi Shiina / 早乙女太一
【振付】第二部:関根アヤノ / NOPPO(s**t kingz) /Lena
【主催】劇団朱雀製作委員会(LDH JAPAN / S-SIZE)
【キャスト】
早乙女 太一、早乙女 友貴、須賀 健太(東京・大阪のみ)、浜中 文一、喜矢武 豊、富岡 晃一郎、久保田 創、岩崎 祐也、安田 桃太郎、熊倉 功、益川 和久、高岩 芯泰、西野 名菜、NanaCo、Mai Watanabe、Yui Watanabe、Kurumi Shiina、Lena、Kekke、琉貴、鈴花 奈々、葵 陽之介

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