舞台『キングダムII─継承─』~王騎が見ていた景色と、受け継がれていくもの~

舞台『キングダムII─継承─』~王騎が見ていた景色と、受け継がれていくもの~

2026年9月東京建物Brillia HALLで、
舞台『キングダムII─継承─』を観劇してきたかてこさん。

舞台『キングダム』第2弾。

原作の先のストーリーをほとんど知らないまま劇場へ向かったのですが——

面白かった。

そして、約3時間の舞台を観終えたあと、
タイトルにある「継承」という言葉と、

「これが将軍の見る景色です」

というキャッチフレーズである意味がつながった瞬間、
作品への感動がさらに増幅されるような感覚を味わいました。

こういう感覚は、久しぶりでした。

今回は、
舞台『キングダムII─継承─』で印象に残った戦闘シーンや王騎将軍の物語、
そして観劇して初めて見えてきた「継承」について振り返ります。

(2026年かてこさん撮影:東京建物 Brillia HALLにて)

舞台『キングダムII─継承─』とは

原泰久氏による大人気漫画『キングダム』。

紀元前の中国・春秋戦国時代を舞台に、
戦災孤児の少年・信と、のちに始皇帝となる若き秦王・嬴政が、
それぞれの夢を抱きながら中華統一を目指していく物語です。

2023年には帝国劇場で初めて舞台化。

初演では、
信と嬴政が出会い、王弟から玉座を奪還する「王都奪還編」を中心に描かれました。

そして2026年。
第2弾となる『キングダムII─継承─』で描かれるのは、
その先の戦いです。

信(しん)役には、初演に引き続き三浦宏規さんと高野洸さん。

そして今回、大きな鍵を握る人物として、
羌瘣(きょうかい)役に山本千尋さんが加わりました。

さらに、
王騎(おうき)役は初演から続投の山口祐一郎さん。

今回の物語では、
秦国の大将軍・王騎(おうき)が歩んできた道と、
その先にある壮絶な戦いが描かれます。

かてこさんが観劇した日は、
東京建物Brillia HALLでの公演でした。

(2026年かてこさん撮影:劇場入り口前と2階席扉前通路に飾られていたキャラクターパネルたち)

山本千尋さんがいることで増す戦場の説得力

今回、まず目を奪われたのが、
羌瘣(きょうかい)を演じる山本千尋さん。

戦いの場面が非常に多い作品ですが、
山本千尋さんが加わったことで、
舞台上の戦闘シーンそのものに説得力が増していたように感じました。

とにかく殺陣がキレッキレ。

剣を振る速さだけではなく、
身体の軸や間合い、相手との距離の取り方まで含めて、
「この人物は本当に戦える」
と思わせてくれます。

羌瘣(きょうかい)は、伝説の暗殺一族“蚩尤(しゆう)”の一人。

特殊な呼吸法を使った「巫舞(みぶ)」によって戦う人物ですが、
山本千尋さんの身体能力があるからこそ、
漫画的ともいえる戦い方が舞台上でも浮いて見えません。

アクションの見せ場が多い『キングダム』に、
これほど相性のいいキャスティングはなかなかないのではないでしょうか。

物語を追うだけでなく、
「次はどんな動きを見せてくれるのだろう」
と思いながら観てしまうほどでした。

(※画像はイメージです。)

Brillia HALLを狭く感じさせない、戦場の作り方

初演の舞台は帝国劇場。
今回の東京公演は東京建物Brillia HALLです。

帝国劇場に比べれば舞台空間はコンパクトですが、
観ていて「狭くなった」という印象は、ほとんどありませんでした。

舞台の奥行きをしっかりと使い、
出演者たちが客席まで走り抜ける。

戦場が舞台上だけに収まらず、
劇場全体に広がっていくような感覚があります。

特に戦闘シーンでは、
複数の人物が同時に動くため、
舞台の奥行きが効果的に使われていました。

今回、私は2階席から観劇。

舞台作品ではどうしても前方席に目が行きがちですが、
『キングダムII─継承─』については、
むしろ2階席だからこそ見えるものも多かったように思います。

兵士たちの動き。
戦場全体の配置。
前後左右から人物が入り乱れる戦闘。

舞台全体を俯瞰できることで、
戦いのスケールや流れがよくわかる。

アクションが多い作品だからこそ、
2階席との相性はかなり良い舞台だと感じました。

 

 

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“馬”まで本気だった

戦場を描く『キングダム』、
当然、馬に乗って駆ける場面も登場します。

舞台なので、
本物の馬が出てくるわけにはいきません。

となると、
何らかの形で馬を表現する必要があります。

ここは舞台化すると、
下手をすると一気に“作り物感”が出てしまうところ。

ところが今回登場した馬は、
かなり大きく作られていました。

しかも、ただ形だけの馬ではありません。

可動域をしっかり持たせ、
人が乗ったときの揺れや疾走感まで表現しようとしている。

「馬を出さざるを得ないから模型を使いました」

ではなく、

「舞台で馬をどう本気で走らせるか」

を考えて作ったことが伝わってきます。

“馬”にも手を抜かないからこそ、
『キングダム』の世界観が保たれているのだと感じました。

(2026年かてこさん撮影:開演前、2階かてこさん席からの視界、
「王」に見えるごつごつしたこのブロックが重なって作り出す場面が素晴らしい)

戦場の物語だからこそ、胸に沁みる“待っている人”の存在

『キングダムII─継承─』には、
当然ながら多くの戦いが描かれます。

そして、戦いである以上、
命を落とす人もいる。

仲間の死。
王騎(おうき)将軍の死。

それだけでも胸に迫るものがありますが、
今回特に印象に残ったのは、
戦場の外には、帰りを待っている人がいる
ということ。

村で待つ人。
家族や仲間の帰還を待つ人。
戦場から戻ってきた人物を迎え、
抱きしめる。

そんな場面を見ると、
戦場では「兵士」として描かれていた一人ひとりにも、
それぞれの日常があったことを思い出させられます。

勝った、負けた。
生きた、死んだ。
それだけでは終わらない。

戦場から帰る場所があり、
そこで待つ人がいる。

その光景があるからこそ、
戦いの重さがより強く伝わってきました。

“一人の人間”としての王騎将軍の描かれ方

そして今回の中心にいるのが、
山口祐一郎さん演じる王騎(おうき)将軍。

『キングダム』を詳しく知らない人でも、
一度見たら強烈に印象に残る独特の話し方と圧倒的な存在感を持つ人物です。

大将軍としての強さ。
戦場を見渡す力。
兵を導く力。

その姿だけを見ていると、
どこか人間離れした存在にも感じます。

ところが今回、
王騎(おうき)にも愛する人がいたことがちゃんと描かれています。

摎(きょう)。

大塚千弘さんが演じる摎(きょう)との物語が表現されることで、
舞台上でも王騎(おうき)という人物の見え方が変わりました。

強い将軍にも、
誰かを想う気持ちがある。
失った悲しみがある。
守りたかったものがある。

将軍が将軍たらしめている圧倒的な強さの裏側に、
一人の人間としての感情が存在していた。

それを知ってから観る王騎(おうき)の姿は、
それまでとは少し違って見えました。

(※画像はイメージです。)

原作を知らなくても、約3時間でちゃんと物語に入れる

今回、
この舞台で描かれる原作のストーリーを知らずに観劇しました。

それでも、
物語についていけなくなることはほとんどありませんでした。

登場人物も多く、場面展開も早い。

それなのに約3時間の中で、

信(しん)たちの成長。
羌瘣(きょうかい)という新たな人物と戦う理由。
仲間との絆。
戦場での死。
王騎(おうき)の過去。
王騎(おうき)が見てきた景色。

そして、その先へ続いていくもの。

重要な要素がかなりコンパクトに詰め込まれています。

原作を知っていれば、
もちろんもっと深く味わえる部分もあるのでしょう。

それでも、
「キングダムを詳しく知らないと楽しめないのでは?」
と心配する必要はまったくない舞台に仕上がっていました。

アクションだけでも見応えがありますし、
人間ドラマとしても十分に入っていける。

約3時間でしたが、
体感としては本当にあっという間でした。

(2026年かてこさん撮影:休憩時間、上が2階かてこさん席、下が1階センター通路からの視界)

観終わって初めてわかった「継承」の意味

戦場では、
命が失われていきます。

けれど、
そこで終わるわけではない。

終わらせない。

見てきた景色。
戦い方。
想い。
夢。
そして、
次の世代へ託すもの。

王騎(おうき)が見ていた景色があり、
そして、
いつか信(しん)が見ることになる景色がある。

今回の舞台で一番重要なシーンでの
馬を使った演出もよく、
王騎(おうき)そのものが憑依したかのような山口祐一郎さんの演技に、
感涙してしまいました。

観劇前後で舞台タイトルの印象が変わる作品

舞台『キングダムII─継承─』。

戦闘シーン盛りだくさん。

山本千尋さんのキレのある殺陣。
舞台の奥行きと客席まで使った演出。
本気で作り込まれた馬。
仲間の死。
帰りを待つ人たち。

そして、
王騎(おうき)将軍が遺したもの。

約3時間の中に、
これでもかというほど多くの要素が入っているのに、
不思議と詰め込みすぎには感じませんでした。

原作をほとんど知らなくても楽しめて、
アクションだけではなく、
最後には人と人との想いが残る。

そして何より、
舞台を観終わってから

「継承」

というタイトルの意味がわかる。

舞台を観る前と観たあとで、
作品タイトルの見え方が変わる——。

そんな体験も含めて、
『キングダムII─継承─』を観てよかったと思える夜でした。

ステージに立つ人、その世界を創り上げるすべての人に、心から拍手を。

 

 

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関連作品

王騎(おうき)将軍や信(しん)たちが歩んできた物語を、原作でも辿ってみたくなった方には、
漫画『キングダム』第1巻から読み始めてみるのがおすすめです。

信(しん)と嬴政(えいせい)の出会いから、中華統一という大きな夢へ向かって物語が動き出す原点には、
舞台で描かれた人物たちの関係性や成長につながる要素が詰まっています。

舞台を観たあとだからこそ、
「あの人物はここから始まっていたのか」
「この出会いが、あの“継承”につながっていくのか」
と、違った見え方ができるはず。

『キングダム』の世界をもう少し深く味わいたい方は、
まず原作第1巻からぜひ。

舞台ファイル:舞台『キングダムII─継承─』

かてこさんが赴いた公演日程は以下の通りです。

【公演名】舞台『キングダムII─継承─』
【公演期間】2026年8月9日 ~ 2026年9月13日
【会場】東京建物 Brillia HALL
【原作】原 泰久
【脚本】笠浦静花
【演出】山田和也
【製作】東宝
【キャスト】
信(しん):三浦宏規、高野 洸
羌瘣(きょうかい):山本千尋
龐煖(ほうけん):東 啓介、章平
河了貂(かりょうてん):華 優希
尾平(びへい):元木聖也
蒙毅(もうき):竹内將人
羌象(きょうしょう):清水葉月
蒙武(もうぶ):渡辺 大、飯作雄太郎
摎(きょう):大塚千弘
騰(とう):石川 禅
王騎(おうき):山口祐一郎
嬴政(声)(えいせい):小関裕太、牧島 輝※声のみの出演
カイネ(かいね):森 莉那
尾到(びとう):篠崎大悟
趙荘(ちょうそう):保土田 充

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