劇団☆新感線『紅鬼物語』~柚香光の“鬼”の目力に息をのんだ新感線流お伽噺~

2025年6月、7月に、劇団☆新感線45周年興行・初夏公演
いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』を観劇してきたかてこさん。

劇団☆新感線といえば、派手な殺陣、笑い、音楽、ケレン味たっぷりの演出で、
観る側のテンションを一気に引き上げてくれる劇団。

今回は、平安の世を舞台にした“鬼”の物語。
これまでの新感線らしい勢いはありながらも、どこかお伽噺のような哀しさや、
伝承のようなテーマの重みも感じる作品。

年間100公演以上観劇するかてこさんには、どんな景色が映ったのでしょうか。

(2025年かてこさん撮影:シアターHにて)

劇団☆新感線45周年の初夏公演『紅鬼物語』

『紅鬼物語』は、劇団☆新感線45周年興行の一作。

作は青木豪さん、演出はいのうえひでのりさん。

主演を務めるのは、元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香光さんです。
柚香光さんにとっては、宝塚退団後、演劇作品として初めての舞台。

そこに、鈴木拡樹さん、早乙女友貴さん、喜矢武豊さん、一ノ瀬颯さん、樋口日奈さん、
粟根まことさん、千葉哲也さんら、多彩なキャストが集結しました。

物語の舞台は、鬼が現れる平安の世。

10年前に妻と娘を失った男・源蒼が、鬼の根城を探し、
行方知れずになった二人を取り戻そうとするところから物語は動き出します。

人と鬼。
愛する者との別れ。
血の宿命。

“ともに生きるか、ともに死ぬか”という言葉がずっしりと、
哀しくも美しい新感線流のお伽噺でした。

前から2列目、ドセンターで浴びた迫力

かてこさんが観劇した座席は、前から2列目の15番。

いわゆるドセンターです。
この距離で観る新感線は、やはり迫力が違います。

衣裳の質感、表情の変化、身体の動き、息遣いまで、舞台上の熱を、
温度感そのままに直接浴びるような距離感。

なかでも強く印象に残ったのが、柚香光さんの“目”です。

かがんで前を見つめる場面。

赤いカラコンが入った状態で、こちらを射抜くように見据える目力が、本当にすさまじかったそうです。

思わず目をそらしたくなるほどの迫力。
美しいのに、怖い。
怖いのに、目が離せない。

“鬼”という人ならざるもの、異質で、哀しく、圧倒的な存在が、
そこに確かに立ち上がっているようでした。

(2025年かてこさん撮影:前から2列目ドセンター席!)

柚香光さんだから出せる“鬼”の美しさ

柚香光さんの紅子は、いわゆる外国人のような雰囲気というわけではありません。

でも、立っているだけで空気が変わる。
身体能力の高さ、所作の美しさ、そして鬼として現れたときの迫力。

そのすべてが、普通の女優さんの表現とは少し違うところにあるように感じられました。

指先の使い方。
身体の角度。
視線の置き方。

一つひとつの動きに、舞台上で自分を大きく見せる技術が宿っているかのよう。

男役で積み重ねてきた身体表現は、
“人ならざる者”を演じるうえで、独特の説得力になっていたように思います。

女性としての美しさだけではなく、性別を超えたような凛とした存在感。
そこに鬼の哀しみや怖さが重なって、柚香光さんならではの紅子になっていました。

(※画像はイメージです。)

いつもの新感線とは少し違う評価かもしれない

一方で、『紅鬼物語』は、観る人によって評価が分かれる作品かもしれません。

劇団☆新感線ファンとして観るか。
柚香光さんや出演俳優さんを目当てに観るか。

その入口によって、感じ方は少し変わりそうです。

いつもの新感線にある、爆発的な勢い、笑いの連打、豪快なカタルシスを期待していると、
少し物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

もちろん、歌って、踊って、殺陣があって、ショーアップされた見どころはたっぷりあります。

ただ、今回は“新感線流のお伽噺”という印象が強く、物語全体に哀しみやその余韻が残るタイプの作品。

かてこさんとしては、いつもの新感線と比べると評価が分かれそうだと感じつつも、
十分に面白く観ることができた作品だったそうです。

鈴木拡樹さん、早乙女友貴さんらの存在感も

柚香光さんの印象が強く残る作品ではありますが、周囲を固めるキャストの存在感も見どころでした。

鈴木拡樹さんの源蒼は、妻と娘を思い続ける男としての切なさと、品のある佇まいが印象的。
早乙女友貴さんは、やはり身体のキレと殺陣の説得力が抜群です。

新感線の舞台において、殺陣の美しさとスピード感は大きな魅力のひとつですが、
その中でも早乙女友貴さんの動きは、空気を切るような鋭さがありました。

喜矢武豊さん、一ノ瀬颯さん、樋口日奈さんといった初参加組も、それぞれの個性を持ち込みながら、
作品世界の中でしっかり役割を果たしていました。

そして、粟根まことさん、千葉哲也さんらがいることで、
物語に新感線らしい厚みと安心感が生まれていたように思います。

シアターHという劇場の近さも作品に合っていた

東京公演の会場は、シアターH。
大劇場というより、客席と舞台の距離が近く、キャストの表情や細かな動きまで伝わりやすい劇場です。

『紅鬼物語』のように、鬼の迫力や人間の哀しみ、目線の強さが重要になる作品には、
この密度の高い空間がよく合っていたように感じました。

特に前方席で観ると、舞台上の熱量がそのままぶつかってきます。

柚香光さんの目力。
殺陣の勢い。
衣裳の迫力。
客席まで届く空気の震え。

映像ではなく、生の舞台だからこそ感じられる圧がありました。

(2025年かてこさん撮影:シアターH座席表と上映時間、わりとこじんまりとした空間です。)

ゲキ×シネで観る楽しみもありそう

『紅鬼物語』は、今後ゲキ×シネでも観られる作品です。

劇団☆新感線の作品は、映像化されることで、劇場とはまた違った楽しみ方ができます。

前方席で観たときの生の迫力はもちろん特別ですが、ゲキ×シネでは表情のアップや、
舞台全体の見せ方、音響の迫力によって、また違う角度から作品を味わえそうです。

劇場で観た人は、あの場面をもう一度確認する楽しみがありそうですし、
チケットが取れなかった人、
新感線をまだ観たことがない人にとっても、
入口になりやすい作品だと思います。

また、劇団☆新感線の作品はWOWOWなどで放送・配信されることもあるため、
今後の映像展開にも期待したいところです。

美しく、怖く、哀しい“鬼”の物語

劇団☆新感線45周年興行の初夏公演として上演された『紅鬼物語』。

いつもの新感線らしい派手さを期待すると、少し好みが分かれる部分はあるかもしれません。

けれど、平安の世を舞台にしたお伽噺として、鬼の哀しみや人の業を描く作品として、とても印象に残る舞台でした。

とくに、柚香光さんの“鬼”としての存在感。

前方席で浴びたあの目力は、しばらく忘れられないものとなりました。

美しいのに怖い。
怖いのに哀しい。
そして、哀しいのにどこか惹きつけられる。

『紅鬼物語』は、そんな余韻を残す、劇団☆新感線流の美しきお伽噺でした。

ステージに立つ人、その世界を創り上げるすべての人に、心から拍手を。

(Coffee break…)
次のページをめくる前に、温かい一杯を。

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舞台ファイル:劇団☆新感線『紅鬼物語』

今回、かてこさんが観劇した公演の概要は以下の通りです。

【公演名】2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』
【公演期間】2025年6月24日 ~ 2025年7月17日
【会場】シアターH
【作】青木 豪
【演出】いのうえひでのり
【企画・製作】ヴィレッヂ、劇団☆新感線
【キャスト】
紅子:柚香 光
源蒼:鈴木拡樹
ふじ:樋口日奈
坂上金之助:喜矢武 豊 
栃ノ木:早乙女友貴
桃千代:一ノ瀬 颯
碓井四万:千葉哲也
八十八:粟根まこと

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