2026年1月20日より東京建物 Brillia HALLで上演された舞台『ピグマリオン-PYGMALION-』。
本作は、ノーベル文学賞作家バーナード・ショーによる不朽の名作戯曲『ピグマリオン』を原作としたストレートプレイです。
後に世界的ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原点となった作品としても知られています。
主演を務めるのは 沢尻エリカさん。
共演には 六角精児さん、橋本良亮さん ほか、実力派キャストが名を連ねます。
演技のみによって物語が展開する舞台『ピグマリオン-PYGMALION-』、
年間100公演以上赴くかてこさんにとって、どんな舞台体験になったのでしょうか。

(2026年かてこさん撮影:東京建物 Brillia HALLにて)
教養を身につけた先に待っているもの
ロンドン、ある雨の夜。
下町で花を売って生計を立てる少女・イライザは、音声学者ヒギンス教授と出会う。
強烈なロンドン訛り、教養とは無縁の暮らし。
しかしイライザには「花屋で働く“レディ”になりたい」という、ささやかで切実な夢がありました。
「この娘を、たった6か月で上流階級の話し方に変えられるか?」
興味本位とも言えるヒギンス教授の“実験”が始まり、
盟友ピカリング大佐とともに、イライザへの過酷な教育が続いていきます。
やがて社交界デビューを果たし、“成功”を収めるイライザ。
その姿に惹かれていく青年フレディ。
しかし――
教養を身につけた先に待っていたのは、
誰かに選ばれる人生なのか。
それとも、自分で選び取る人生なのか。
『マイ・フェア・レディ』との決定的な違い
この『ピグマリオン』は、
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』とは結末が大きく異なります。
ロマンティックな恋愛成就ではなく、
イライザは「自分の人生を、自分で選ぶ」という選択をする。
歌も踊りもないストレートプレイだからこそ、
言葉・沈黙・視線のひとつひとつが、
彼女の内面の変化をくっきりと浮かび上がらせます。
これは“シンデレラストーリー”なのか?
一見すると、
貧しい花売り娘が教養を身につけ、
社交界デビューを果たす――
いわゆる“シンデレラストーリー”。
けれど、この物語の本質はそこではないように感じました。
イライザは、
研究者のもとで「モルモット」のように扱われながらも、
最終的に選ぶのは“身の丈に合った生活”。
お金も地位もない。
王子様でもない男性と、
夫婦で花屋を営むという、現実的で控えめな未来。
恋の始まりも、
花売りだった頃のイライザに一目惚れした相手。
その相手もまた、家族から便利に使われてきた“弱い立場”の人間。
だからこそこの結末は、
「格上げされた人生」ではなく、
自分が納得できる場所を選び取った人生なのだと思うのです。

(2026年かてこさん撮影:沢尻エリカさん、ほんとうにキレイでした!)
いま、この作品を観る意味
100年以上前に書かれた戯曲でありながら、
『ピグマリオン』が問いかけるテーマは、驚くほど現代的です。
・教養は、誰のためのものか
・成功とは、社会的評価なのか
・幸せは、他人から与えられるものか
誰かに“変えてもらう”物語ではなく、
自分で選び直す勇気を描いたこの作品。
いまを生きるわたしたちにこそ、
控えめだけど、確かに刺さる一作になりそうです。
ステージに立つ人、その世界を創り上げるすべての人に、心から拍手を。
(Coffee break…)
次のページをめくる前に、温かい一杯を。
舞台ファイル:舞台『ピグマリオン-PYGMALION-』
今回、かてこさんが赴いた舞台日程は以下の通りです。
【公演名】舞台『ピグマリオン-PYGMALION-』
【公演期間】2026年1月20日 〜 2026年2月8日
【会場】東京建物 Brillia HALL
【作】 ジョージ・バーナード・ショー
【演出】ニコラス・バーター
【企画・制作】エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
【キャスト】
イライザ・ドゥーリトル 役(ロンドンのコヴェントガーデンに住む花売り娘):沢尻エリカ
ヒギンス教授 役(音声学者):六角精児
フレディ・エインスフォードヒル 役(上流階級家庭の長男):橋本良亮
クララ・エインスフォードヒル 役(フレディの姉):清水葉月
アルフレッド・ドゥーリトル 役(イライザの父親で飲んだくれ、労働階級者):玉置孝匡
ネポマック 役(ヒギンス教授の音声学の教え子で通訳):市川しんぺー
ミセス・ピアース 役(ヒギンス家の家政婦):池谷のぶえ
ミセス・エインスフォードヒル 役(フレディの母親):小島 聖
ミセス・ヒギンス 役(ヒギンス教授の母親):春風ひとみ
ピカリング大佐 役(退役軍人でインドの方言の専門家):平田 満
関連作品
Amazon ピグマリオン (光文社古典新訳文庫 Aハ 5-1) 文庫 – 2013/11/8
バーナード・ショー (著), 小田島恒志 (翻訳)
原作を読むことで、イライザの“選択”がより鮮明になる。
舞台『ピグマリオン-PYGMALION-』の原作戯曲は、
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』とは異なる結末を持つことで知られています。
歌や演出の華やかさをそぎ落とし、
「言葉」「階級」「教養」「自立」というテーマを、
徹底的に会話劇として突き詰めたのが、バーナード・ショーの『ピグマリオン』。
特に本書(光文社古典新訳文庫)は、
日本語として読みやすく、戯曲でありながら物語として没入しやすい一冊です。
舞台で描かれたイライザの選択を、
「なぜ彼女はその結末を選んだのか」
活字で改めて追体験することで、舞台の余韻が静かに深まっていきます。
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